映画『ゼロ・グラビティ』を紹介します。
ももちんは、2013年の公開直後に劇場に観に行って、衝撃を受けた。
この記事はネタバレしてるので、まだ観てない方は、読まないでね。
ゼロ・グラビティ
おすすめ度:★★★★☆
こんな人におすすめ:宇宙が好きな人。生きる意味を探している人。生きることに疲れた人。
1.あらすじ
引用元:ワーナー公式サイト
優秀なメディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)は、ベテラン宇宙飛行士のマット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)とともに、自身初のスペースシャトルでのミッションに取り組んでいた。
普段と変わらぬ宇宙遊泳のさなか、予期せぬ事態が発生。
シャトルは大破し、宇宙空間に取り残されたストーンとコワルスキーは、互いの体をつなぐロープのほかには何もなく、漆黒の闇に飲み込まれる。
恐怖はパニックとなり、あえぐたび残りわずかな酸素が消えていく。
だが、おそらく地球へ生還する方法はただひとつ。恐るべき虚空の奥へと、さらに突き進むしかない。
ゼロ・グラビティ ブルーレイ&DVDセットジャケットより
2.映画『ゼロ・グラビティ』感想
2013年12月に日本で劇場公開された映画『ゼロ・グラビティ』。
ももちんは、乳がんの抗がん剤治療中。
「死」というものについて思いを巡らせていたこの時期、この映画を見て新しい視点をもらいました。
『ゼロ・グラビティ』感想
2−1.臨場感がハンパない!
ももちんは、この映画を劇場で観ることができて、本当に良かったと思う。
大画面で観ることで、まるで自分が宇宙にいるかのような臨場感を感じた。
実際に観てて、呼吸が苦しくなったり、目が回ったり、地球に帰還したとき、身体が重く感じたりした。
これを感じられるかどうかで、この映画をおもしろいと思うかどうかが、決まってくると思うんだよね。
そして、全編通して登場人物は3人だけ。
ひとりは早い段階でデブリ(宇宙ゴミ)に貫かれて死んでしまう。
そこから先はライアンとマットの二人だけ。
時間の流れも、一つの場面がずーっと続いてるような感じ。
2−2.宇宙の非二元性
生死に意味がない
映画では、どんどん人が死んでいく。
さっきまで宇宙空間でぴょんぴょんジャンプして遊んでた人が、一瞬にして破片に貫かれて死ぬ。
シャトルも大破して、中にいたスタッフたちも死んでいる。
そこでは、地球で、日常生活で、だれかの死を目の当たりにするときに感じる気持ちが、まるで起きない。
悲しみとか、ショックとか、思い出に浸るとか。
そういう、人間らしいというか、地球らしい反応がそぐわない。
宇宙では、そこに感情を挟む余地がなく、「死」ですら、ただ起こるものなんだ。
圧倒的な孤独
映画全体を通して、宇宙空間の無限さとか、無に圧倒される感覚がずっとある。
その中にいて、初めはとっても静かで穏やかに感じた宇宙。
こんな中ならどんなに安らいだ気持になるだろう。
ところが、突如衛星の破片に襲われて、ライアンが宇宙空間に放り出された時、これほどの恐怖はあるだろうか、と思った。
日常では絶対に体験することのない、圧倒的な孤独。
宇宙は常に静かで、変わることがない。
感じる気持ちが穏やかさだろうが、恐怖だろうが、ずっと変わらず人間を包みこんでいるだけ。
そこに居合わせた人間が、意味づけをしているだけ。
ライアンは「宇宙なんて嫌い」といった。
マットは、最後まで地球の美しさに感嘆していた。
2−3.人間の弱さと強さ
マットという存在
宇宙の中で二人だけになってしまったマットとライアン。
ライアンは必死にマットにすがりつく。
これは、死にたくない!という気持ちの現れ。
けどもっと感じるのは、「一人になりたくない!」ていうライアンの強い気持ち。
ひとりになってしまったときも、マットはリアルな幻覚として現れる。
圧倒的孤独を恐れるライアンの弱さが、マットが現れるという幻覚をつくりだした。
けれど、その幻覚によって元気を取り戻すライアンの強さも感じる。
アニンガとの対話
宇宙で一人という感覚にどっぷり浸かっている終盤、地球との交信ができるシーン。
それは、アニンガというイヌイットだった。
もちろん英語は通じない。
けれど伝わってくる、自分以外の人の声、犬の声、赤ちゃんの声。
地球を故郷にしているという共通点が、とても温かく感じる。
ここで、ライアンの戦々恐々とした気持ちが解けていく。
生きようとするラスト
万策尽きたと思ったときに、ふと浮かぶ、亡くなった娘のこと。
娘に会えると思ったら、このまま死んでも良いとさえ思えてくる。
何をこんなに、生きるために必死になっているのか。
死は怖いものじゃない。ただ死ぬだけ。
そのことが腑に落ちた人は、もう恐怖に取りつかれることない。
では、今できる最善は何か?
希望から行動することができる。わくわくすらあるかもしれない。
そのスイッチが入ったときは気持ちよかった。
その感覚は、「死ぬか生きるか」の逆境を経験した人でなければ、なかなかつかめない。
だけど、この映画を観ることで疑似体験できる。
まとめ:救いのなさにある救い
『ゼロ・グラビティ』感想まとめ。
地球に肉体をもって生きているということ。
その儚さと尊さを両方感じられるような映画です。